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サッカーと料理とワインと旅行とドライブと音楽が好き。関西ではたらく、ひよっこ看護師のブログ

子どもの愛情形成から認知症予防まで、皮膚に触れることが本当に大切

看護師をしていると、当然患者さんに触れる機会が多くなります。

患者さんの脈やお腹を触診するとき、患者さんの訴えをうかがうとき、体調の悪い患者さんの背中をさするとき・・・。

看護における触れることは「タッチング」といい、コミュニケーションの手段として、共感的姿勢を示し、患者さんに安心感を与えるため意図的に使われることが多いと思います。

 

この「触れる」という行為は、単に共感的な姿勢を示すというだけにとどまらず、子どもの愛情形成から高齢者の認知症予防など絶大な力を発揮するということが、様々な研究から立証されています。

 

最近、テレビでも取り上げられることが多いのですが、「オキシトシン」というホルモンをご存知でしょうか?医療の領域では、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸う刺激で分泌され、おっぱいを出す作用があるホルモンとして知られていますが、その他にも別名「幸福ホルモン」「愛情ホルモン」「絆ホルモン」などと呼ばれ、このホルモンの作用によって人は愛情や幸福感を感じたり、人との絆を形成する上で欠かせないホルモンです。

 

◎ 子どもの愛情形成について

 

先述の通り、お母さんは赤ちゃんに母乳を与えることで、オキシトシンが分泌され、幸福感を感じ、赤ちゃんに対して「愛おしい」「守りたい」といった愛情を形成します。お父さんも、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこし、その肌に触れた時、「この子を守らなきゃ」といった気持ちが芽生えるのではないでしょうか。少なくとも僕はそうでした。これは男性の脳内でもオキシトシンが分泌され、その作用によるものだと考えられます。では、赤ちゃんや子どもはどうでしょうか?様々な研究によって、赤ちゃんや子どもは他者によって抱かれること、つまり温かな皮膚に触れることによって慰安や安心感を感じ、それらが他者に対する「愛情の形成」につながるそうです。

 

◎恋人・夫婦関係について

恋人や夫婦において人は「触れる」ことで愛を伝えようとします。人に愛情を持って触れるとお互いの脳でオキシトシンが分泌され、リラックスし、ストレスが癒され深い絆を築くことができるそうです。また、びっくりするのは、触れなくてもオキシトシンは分泌されるということ。夫婦で、夫が妻をファーストネームで呼ぶことで妻の脳ではオキシトシンが増え、そんなちょっとしたことで妻は夫に人として尊重された感覚が芽生え、愛情を再認識できるのだとか。

はあちゅうさんとの結婚で話題になった、カリスマAV男優のしみけんさんの本の中でもオキシトシンのことが書かれていて、「オキシトシンの作用によってセックスの快楽よりも、好きな人とと結ばれたという気持ちの方が強いセックスになり、オキシトシンをうまく引き出すことでセックスレスになりづらくなる」そうです。

 

◎認知症高齢者に対する効果について

ユマニチュードという認知症のケア技法があります。特別なことではなく、ただその人の「人間らしさ」を尊重し続け、「個人として尊重する」ことを理念に置いて接します。このユマニチュードのケアの柱となるのが「見る」「話す」「触れる」「立つ」 ことによる援助です。

「触れる」ことにおいて、相手の腕に触れて体を起こそうとするとき、相手の腕を上から「つかむ」のではなく、下から「支える」ようにして触れる。相手の動こうとする意思を尊重しそれを援助する方向で支えることが大切だそうです。

また、高齢者に対しても優しく触れることでオキシトシンが分泌されることがわかっていて、オキシトシンはセロトニン神経を活発にするため、不安や抑うつを和らげる効果もあるのだとか。

 

ざっくりと書きましたが、「触れる」ことにはすごい力があり、僕自身、日頃の育児や仕事の中で活かしたいと思うことばかりです。ただ、相手が求めてもいないのに不用意に触れることはかえって不快感や不信に繋がります。自分と相手との距離感や関係を見極め、適切に行う必要がありますね。オキシトシンについてはまだまだ研究されている途中ですので、僕ももっといろいろ勉強してみたいなと思います。

 

山口 創『人は皮膚から癒される』

「触れる」ことのパワーについて詳しくかかれています。

 

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